AI時代。人間側の「恐れ」をどう払拭するか

例として挙げたのが、ヒアセイが先ごろ発表したアドバイザーや保険代理店向けの新サービスだ。アルゴリズムが顧客への返信を自動生成するというサービスだが、導入当初はとんでもない文案が出てくることがあった。
たとえば、顧客にハッピーバースデーを言うようにアドバイザーに提案し、顧客がそれに対して返事をすると「お気遣いありがとうございます。それはいいですね!」と返すといった具合だ。
顧客はアドバイザーが上の空になっているか、ちょっとおかしくなってしまったのかと思ったという(ちなみにグーグルも電子メールの返信を自動作成するサービスを始めたが、この数カ月というもの、もっとひどい文面を作る失敗を繰り返している)。
ヒアセイのサービスの場合、スタッフの介入と機械学習の双方によりアルゴリズムが改善されたことで、メッセージのあらがなくなって、もっと適切な返信を生成できるようになったという。
さて、こうした人間と機械の共生を実現する唯一の方法は、新たな関係に恐れを抱いたまま足を踏み入れないことだ。
恐怖は「意志決定の際の感情としては最悪のもの」だと、ナラティブ・サイエンスの共同創業者であるクリスティアンハモンドは言う。同社は、データや統計から自然言語を使った報告書をAIで生成するサービスを展開している。
相互作用が恐れによって促進される場合、テクノロジーばかりに目が行って、事業にとってのテクノロジーの活用の必要性がおろそかになりがちだ。
ハモンドは、データアーキテクトと事業戦略の担当者からなるチームを作ることを勧める。「AIの専門家に、もっと幅広いイニシアティブに参加してもらうのだ。目指す企業の姿、そしてAIがビジネスを形作るすべについて論じるようなイニシアティブに」