最良の道は「人間参加型」関係構築

AIの導入が進めば進むほど、ロボット的思考をしない人材を求める企業が増えてくることはわかっている。
「テクノロジーと競合するのではなく、相補うようなスキルを伸ばすように努めなくてはならない」とコプリンは言う。
「エクセルより早く計算できるようになろうとか、グーグルよりたくさんの事物を覚えようなどとする人はいないはずだ。その代わりに私たちが考えなければならないのは、今後数十年はコンピューターが真似できないような、極めて人間らしいスキルとは何だろうということだ」
AIが人間よりはるかにうまくやれるタスクはたくさんあるが、その仕事を解釈し、その結果を戦略的で共感的で創造的な方法で応用するのは人間の仕事だ。
ヒアセイのシーに言わせれば、機械は人間にとって利用可能なリソースの1つに過ぎない点、そして人間は機械の関係を真に有益なものにするためのスキルを備えている点を理解することがカギになる。「大事なのは偏見にとらわれず、適切なタスクを機械に任せられることだ」とシーは話す。
そのための最良の道は、AI業界で「人間参加型(Human-in-the-loop)」と呼ばれる関係を構築することだ。つまりアルゴリズムには自分の仕事をやらせ、人間はそれを監督し、さらに改良していくという関係だ。
機械学習だけで100%の正答を出すのは難しい」とシーは言う。だが、人間参加型のプロセスを実施することで「(最初から)完璧である必要はなくなる。人間がプロセスに介入すれば、アルゴリズムは学習する」