フィンテックベンチャーの裏側で

一方、フィンテックベンチャーの裏側で、規制に縛られた銀行業務を受託して行う既存銀行も出てきた。 
例えばニュージャージーのクロスリバー銀行は、もともとは地元の超正統派ユダヤ教徒コミュニティのために作られた銀行(※4)だ。それが、シリコンバレーベンチャーキャピタルから2800万ドルを調達(※5)して、いまやフィンテックベンチャーの裏で、ローン貸し出しなどの規制業務を提供する「金融卸」が主たる事業となっている。
近年のフィンテックベンチャーの王道の勝ちパターンは、①バックエンド業務をITで自動化して低コストを実現し、競合優位性を確保したビジネスを開始、②顧客側のフロントエンドにはシンプルで使いやすいアプリケーションを提供してユーザーを拡大、③大量の顧客から得たデータでターゲティング精度を向上させ、さらに事業拡大する、というものだ。
そしてビジネスが③の拡大期に入ると、1000億円単位で資金提供する投資家がロシア、日本、中近東など世界からやってくる。この規模で事業開発をされたら大手金融からみても脅威だ。